お針子蜂の巣

手仕事と防災の記録

   東谷山フルーツ 綿摘み体験終了

あいにくの雨でしたが
ゆっくりする暇がないくらいにはお客様に来ていただけました。


こんなふうにセッティング。
去年の種(茶綿)は発芽率が下がっていると思うので
ご希望の方にプレゼントしました。
なぜか茶綿の種だけ、すごい数が残っているのです。



ギターチャルカのアップ画像。
しばらく使っていなかったので、イベント前に少し練習しておきました。
ほんとによくできたチャルカだと思います。
なにより「かっこいい」!
「道具は美しいことも大切」と思っている私には
本当に嬉しい道具です。



糸紡ぎ体験のセッティング。
スピナッツさんのSPINKNIT(スピニット)を土台に立てて
サポートスピンドルとして使います。
(フック部分を下にして立てます)
去年の収穫分を事前にお預かりして、綿繰りとカーディングを頑張りました。
だいぶ余ってしまいましたけどね(笑)



こちらはあるご家族の、3人のお子さん達の手紡ぎ糸。
ディスプレイしていた茶綿の糸と双糸にしたいということで、
こんなふうに杢糸になりました。

いちばん右の末っ子ちゃんの糸は、私がお手伝いしたので
だいぶ細くなってしまいました。
でも最初はお父さんと紡いでいて、そのときから細くてきれいな糸でした。
綿を紡ぐのは簡単ではないのですが、お子さん達は根気よく頑張って
最後まで紡いで、そのようすを見ることができて嬉しかったです。


最近イベントが続いているのですが、
施設の担当の方との打ち合わせのときに、いろいろなことについて
お話しする機会があります。

皆さん試行錯誤しながら、入園者を増やすことや
来てくださるお客様に楽しんでいただくことを一生懸命努力されているので
私もできるだけお役に立てたら、という気持ちがあります。

ですが、葛藤もあります。

イベントですから、1人でも多くのお客さんに来てもらいたい、
気軽に楽しめて、低料金で、体験したあと満足感のあるものでないといけない、
などなど、手仕事を日常にして暮らしている者からしたら
なかなか難しい条件だと言わざるを得ません。

もちろん気軽で簡単な手仕事もたくさんありますが
「手紡ぎ」や「編み物」は、「時間」というものがやはり必要です。
ふらっと寄って、15分くらいで仕上げて持って帰れる嬉しいものというのは
結局仕上がり直前まで作ってあるものになってしまい、
「自分で作った」と大満足して、大切にするようなものには
なりづらいのではないかと思うのです。
すぐにダメになったり、飽きて捨てられてしまうようなものを
ワークショップで教えたいとは思いません。


大賑わいとは言えないイベントと講座を続けてやってみて
担当者の方のお話や、お客様のことや、人からもらったアドバイスのことなどを
いろいろと考えているときに、ふとこんなふうに思いました。

「難しいことなんだなって分かってもらえてよかったんじゃないか」って。

ちまたには、手軽で安くて、見栄えがして、話題性のあるものが溢れています。
そんな世の中にあって、「ちょっと難しくて、多少お金もかかって、
じっくり取り組む必要があって、でもとても楽しくて
満足感がある手仕事」というものがあってもいいよなーと思ったのです。

「身に着けるものは全部糸から手作り」なんていう生活は
怠け者の私にはなかなか実践できないけれど、
「昔の人はすごいなぁ」と思うだけでも、お客さん達も何か違った視点が
持てるかもしれない。
低価格で買えて、毎年何十万トンも廃棄されている服について考える
ちょっとしたきっかけになるかもしれない。
そういうことをお手伝いしていけたらいいなぁと、
また気持ちを新たにしました。

「難しくて当たり前」とは言っても、「手紡ぎ講師」を名乗る以上は
いかに「より取っつきやすく、最初から楽しく感じられるような手紡ぎ」を
提案していけるかが重要なところです。
生徒さん達にヒントをいただきながら、切磋琢磨していきます。